茨城県神栖市の鹿島港の南側に立ち並ぶ風車が、ウインドパワー・かみす第1洋上風力発電所、及び第2洋上風力発電所である。ここではこれら2ヵ所の風力発電所を合わせて記載する。
神栖風力発電所からシーサイド道路を北進し、神栖市営 日川浜オートキャンプ場付近の交差点をさらに海岸沿いの方へ右折して進むと、まずウインド・パワーかみす第1洋上風力発電所があり、その北側にはウインド・パワーかみす第2洋上風力発電所がある。
この全15基の風車のうち、南側の7基が第1洋上風力発電所であり、北側の8基が第2洋上風力発電所になる。これらの風車群は、海岸道路から約50メートル沖合いの防波堤上に建設されている(第2発電所の1基のみ陸上に設置されている)。
変電設備は陸側に設置されており、風力発電機までは作業通路兼配線ルートの歩道で行き来できるようになっている。
第1洋上風力発電所の近くに、海風の見える丘(展望見晴台)が整備されている。下の地図のマーカー部は、この展望見晴台の位置を示している。この見晴台からは整列した風車群を見ることができ、早朝には日の出と共に眺める事もできる。
また、この風力発電所の設置された側道の護岸壁面には、1000人画廊という絵画作品が描かれている。
この風力発電所の風車は、ダウンウィンド方式(タワーより風下側でブレードを回転させる)の風車である。一般的にはアップウィンド方式が主流であるが、ダウンウィンド方式のメリットは風向風速計をハブより前に設置できるため正確に計測できる点があげられる。
アップウィンド方式の場合には、回転するブレードの後ろに風向風速計を設置するため、ブレードの回転で乱れた気流によって正確に計測できない場合がある。風車は風向風速計の値によってブレードの角度などを制御しているため、計測値が正確であるほど発電効率が高くなり良いとされる。
このような特徴のあるダウンウィンド方式の風車について、付近の風力発電所のアップウィンド方式の風車との違いに着目しながら見学したい。
またこの防波堤上に建てられた風車群には、東日本大震災の際には約5メートルの津波が押し寄せたようだが、結果的には影響はほとんど無く、風力発電の安全性を実証する事となった。
なおこの風力発電所は、名称が「洋上風力発電所」となっているものの、国が定める「洋上風力発電」の基準は満たしていない。NEDOの資料から引用すると
海上、湖沼、河川等の水面を利用して、直接、風力発電装置、制御・監視装置を設置し発電するシステムであり、港湾域の防波堤上に建てられている風力発電設備(semi-offshore)は洋上風力発電には属さない。
着床式洋上風力発電導入ガイドブック より
とされており、港湾域の防波堤上に設置された本発電所は該当しない。(因みに、洋上風力は売電時の価格が陸上風力より上乗せされる)
このウインド・パワーかみす第1風力発電所は2010年に運転を開始しており、その建設当時には「洋上風力発電」の国の定義が明確化されていなかったためこのような形になったようである。
風力発電所データ
名前 | ウインド・パワーかみす第1洋上風力発電所 |
所在地 | 茨城県神栖市 |
総出力 | 14MW |
風車数 | 7基 |
運転開始 | 2010年7月 |
見学設備 | 有(海風の見える丘(展望見晴台)) |
駐車場 | ー |
接近 | 可能だが真下は不可 |
その他 | 発電所を運営する事業者に連絡する事で、見学案内を受ける事が可能 |
名前 | ウインド・パワーかみす第2洋上風力発電所 |
所在地 | 茨城県神栖市 |
総出力 | 16MW |
風車数 | 8基 |
運転開始 | 2013年3月 |
見学設備 | 無 |
駐車場 | ー |
接近 | 可能だが真下は不可 |
その他 | 発電所を運営する事業者に連絡する事で、見学案内を受ける事が可能 |
風車データ
メーカー | 富士重工業(後に日立製作所が買収) |
製造国 | 日本 |
機種 | SUBARU 80/2.0 |
単基出力 | 2MW |
ハブ高さ | 60m |
ローター直径 | 80m |
受風方式 | ダウンウィンド |
増速機 | 有り |
アクセス
↓ウインド・パワーかみす第1洋上風力発電所の近くの海風の見える丘(展望見晴台)の位置をマーカーで示している。
風力発電所の写真
関連リンク
【風車めぐり】 第55弾 : ウインド・パワーかみす(第1・第2)洋上風力発電所・・・詳細に訪問記がまとめられており、写真も美しい。
鹿島臨海工業地帯 旅行・観光ガイド ブログ・・・風力発電事業会社に勤める専門家の方との訪問記が非常に詳しく記載され、とても参考になる。
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